黒沢川両岸の桜

 

安曇野市三郷(みさと)地区を流れる黒沢川の千国(ちくに)橋あたりに桜並木が続いていますが、まさに今、見頃を迎えています。

 

訪れる人は少なく人影もまばらです。細い農道があるだけで車が通ることもほとんどありません。草の匂いに混じって時々家畜の匂いが漂ってくるだけの静かな田舎です。

 

そんな静まりかえった里山の小川に見事な桜並木が続きます。川の流れは静かですが、耳を澄まさなくともせせらぎがはっきりと聞こえてきます。

 

ヒバリのさえずりが聞こえてきます。どこで鳴いているのか上空を見上げてもすぐに見つけることはできません。一体いつまで鳴いているのかと思うくらいずっと鳴いています。

あぁ春だなぁ…田舎の春はいいなぁ。

 

春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら

 

特にこの歌が好きというわけではありませんが、自然と口から出てきます。この風景にぴったりの歌ですね。

 

黒沢川両岸の桜

 

平日ということもありますがあまり人もいません。

 

カメラを持った人や時々地元の人が散歩している程度です。これだけ多くの満開の桜を少ない人数で贅沢に楽しめます。

 

黒沢川は5キロほど上流の黒沢滝から流れてくるまだまだ川幅の狭い小川ですが、この先上高地から流れてくる清流として有名な梓川と合流します。そしてやがては信濃川となって日本海へ流れていきます。

 

ここで散った花びらはやがて日本海へと運ばれていくんですね。

静かに、しかし確実に毎年この地域の人に春の訪れを知らせてくれる桜です。

 

黒沢川両岸の桜

 

この桜並木は旧三郷村の合併30週年を記念して植樹されたソメイヨシノです。川の両岸に約200本の桜が約1キロにわたって続いています。

 

都会ならこれだけの美しい桜並木があればカメラを持った人で大賑わいになるでしょうが、なんと言っても交通手段のない田舎です。訪れる人もほとんどいません。

 

黒沢川両岸の桜

 

ここには毎年訪れていますが、何も変わっていません。田舎の時間は都会と比べると確実にゆっくりと流れます。

 

また来年必ずくるからね。満開の桜でまた迎えておくれ。