• 松本市

 

松本の市内を歩いているとよく目にするのが道祖神です。

道祖神とは、男女が仲良く抱擁しながら手を取り合っている姿を石像にしたものです。ネットでいろいろと調べてみましたが、どういう歴史的な背景があるのかはよくわかりません。

 

地域の守り神的な、いわばお地蔵様のような信仰の対象で、道が交差するところに多く存在しています。交差点の4つの角に全て道祖神が立てられていることもあります。

 

道祖神は全国的に広く分布していますが、甲信越地方や関東地方に多く、特にここ長野県の中心に位置する安曇野と松本で街中のいたるところで目にすることができます。

 

男女が抱き合う姿は微笑ましく、見ているだけで和んできますね。ぼくはこの道祖神が好きでよく写真に収めます。

 

巾上道祖神

 

松本駅からほど近い、歩いて1,2分のところに、ひっそりと古い時代の道祖神が立っています。

 

巾上道祖神

 

巾上道祖神(はばうえどうそじん)というようです。作られたのが安永2年(1773年)といいますから、今から240年以上も前になります。

松本市内でよく見る道祖神は最近作られた比較的新しいものが多いのですが、これは驚きの古さです。

 

道に面して民家と民家の間に立っています。ずっとここにあるのか、どこからか移転してきたのかは分かりませんが、作られた当初からの時の流れを感じずにはいられません。

 

一体どういう人達がこの道祖神を作ったのでしょうか。当時の周りの風景はどんな感じ?人々の暮らしは?服装は?…きっと額に汗して一心不乱に石を削ったんでしょうね。想像するだけでも楽しいです。

当時から今までの時の流れを知っているのはこの道祖神だけでしょう。

 

巾上道祖神

 

長い時を刻み、今でさえ囲いがありますがずっと風雨にさらされていたのでしょう、ところどころヒビが入り砕けている箇所もあります。触ると砕けてしまいそうです。

固い花崗岩や大理石でできているというよりも、どちらかというと砂が固まったような加工しやすい岩石で作られているようです。

 

男性と女性が寄り添って手を取り合っている様子がなんとなく分かります。風雨さらされたせいか顔には目鼻立ちまでは残っていません。

かつてはどんな表情をしていたんでしょうね。きっと嬉しそうな表情をしていたんだと思います。微笑んでいた表情がなんとなく伝わってきます。

 

2人の左側(向かって右)には盃が置かれ、右側(向かって左)には高杯があります。何かお祝いでもしていたのでしょうか。仲睦まじい様子が手に取るようにわかります。

 

手前には石でできた台がありますが穴が開いています。ここに直接花を生けられるようになっています。

 

巾上道祖神

 

花が飾られ、お賽銭箱があります。造花なのが少し残念ですが仕方ないのでしょうね。とりあえずわずかばかりですがお賽銭を投入しました。

 

歴史がある道祖神なので、これからもずっとずっとここに立っていてほしいものです。

道祖神は数が多く、個性的なものも中にはあります。これからもいくつか紹介していきますので楽しみにしてください。