• 松本市

広沢寺のヤマブキ

 

松本の外れと言ってもよい里山辺の奥地に広沢寺(こうたくじ)という古いお寺があり、ヤマブキの花が満開の時季を迎えました。

 

いつもは4月末ごろには花も散ってしまうようですが、今年は例年よりも開花が遅かったようで、5月になりようやく満開となりました。

 

広沢寺のヤマブキ

 

山門まで200メートルほどの細い参道が続きますが、両側に見事なまでヤマブキが満開になっています。

背丈は2メートルくらいですが、枝は花の重みで参道に向かって垂れています。そしてか弱いヤマブキを見守るかのように、参道沿いには老木もそびえ立っています。

 

広沢寺のヤマブキ

 

何故か全ての花が参道の入り口側を向いて咲いています。参道を歩くとヤマブキが心良く出迎えてくれているよう感じがします。

 

「山吹色」というと、黄色をさらに濃くしたような、黄色とオレンジ色の中間ぐらいの色です。光沢寺のヤマブキは見事なまでに鮮やかな山吹色を演出しています。

 

一輪一輪は黄色ですが、近くで見ると、花びらが重なり合って色が濃くなり、参道のヤマブキが一体になって山吹色を作り出しているようです。

花びらがほぼ水平に広がったヤマブキの花は桜よりも二回りほど大きく、まばゆいばかりに鮮やかで高貴です。

 

ヤマブキについて詠んだ歌がないか調べてみたら、いくつかありました。

鴬の来鳴く山吹うたがたも君が手触れず花散らめやも

山吹の茂み飛び潜く鴬の声を聞くらむ君は羨しも

面白いことに歌にはともに鶯が出てきます。

広沢寺へはまだ人気のない7:30ごろに行ったんですが、歌の通り鶯の鳴き声がどこからともなく聞こえてきました。

きっと鶯は恋の相手が見つかるまで、この里山で初夏まで鳴き続けるんでしょうね。

 

広沢寺のヤマブキ

 

参道の入り口付近には石碑があります。この参道は昭和43年に完成したということです。

 

広沢寺の疣取観音地蔵石

 

かつて何かが彫られていたんでしょうが、時間の経過とともにこのような岩になってしまったようです。全く判読不能です。

 

祠の上には木製の板が掲げられており、「疣(いぼ)取観音地蔵石」と書いてあります。

その名の通り「いぼとり」の御利益があるといわれています。こういったいぼ取りの地蔵石は全国各地に点在するようです。

 

広沢寺は美ヶ原高原の入口の千鹿頭池の近くにあります。結構松本の外れにあるので観光で松本に来られた方はまず訪れることはないでしょうね。

けれど、おすすめのスポットです。