
2017年10月14日、今年も松本少年刑務所にて松本矯正展が開催されました。
松本少年刑務所内で行われる一種のお祭りで、刑務所内の日々の活動や施設内を地元の人に公開して、理解してもらおうというイベントです。
普段一般の人では絶対に入れないような刑務所の施設を案内してくれるんです。これは必見です。

松商学園の女子生徒によるバトントワラーの実演や、地元の地下アイドルのステージ、よくわからない地元の着ぐるみ(はいぶりっこちゃん)のショーなども開催されます。
既に21回めになるんですね。朝1番で行ったんですが、地元の人達で賑わっていました。
事前告知ポスターが市内のいろんな場所に貼ってあるので、結構知名度はあるようです。
松本刑務所での受刑者の日々の生活を見学できます
松本矯正展は単に即売会や農産物の直売所があるだけではなく、実際に刑務所の内部の様子や受刑者の日々の暮らしを見学することができます。
受付で携帯電話やカメラを預けた上で、何人か見学希望者が集まると「見学ツアー」がはじまります。もちろん刑務官の方が数人同行します。
5名~10名ほど集まったところでツアー開始です。老若男女問わずいろんな人が参加してます。あまり馴染みが薄い刑務所という空間に興味津々の様子です。
まずはこの刑務官の方から松本少年刑務所の簡単な説明がありました。
少年刑務所は少年院とは違い、26歳までの受刑者が全国から来ているとのことです。
刑の種類でいうと53%ほどが窃盗・詐欺、13%ほどが殺人・強盗の罪を犯した受刑者で、刑期も長い人で10年くらいだということです。
刑務官の方は慣れたような話し方で流暢に説明されていました。おそらく毎年説明してるんでしょうね。
さすがに内部の様子は一切撮影はできませんでしたので、刑務所内の様子は文字だけでの紹介になります。
もちろん受刑者を一切目撃することはありません。まぁ当然ですけど。
しばらく歩くと、菅原文太さんがここに訪れて植樹した際の記念写真がありました。その際に植えた木も立派に大きくなっています。
ヤクザ映画の菅原文太さんが少年刑務所に来て記念植樹っていうことに少し違和感を覚えたのはぼくだけでしょうか…
日々食べている食事の写真もありました。刑務所内で作業している人とそうでない人とでは食事の内容も違うそうです。作業をしている人は体力を使うので、カロリーが少し高めだということです。
ここならジャンキーなファーストフードやおやつなどの間食を口にすることもありません。お酒も一切口にすることもありません。松本刑務所の食事であれば決して太らないでしょうね。ヘルシーな内容です。
刑務所内には独房、作業場、浴室、教室など様々な施設が
主な見学場所は以下の通りです。
①日々暮らす独房
②勉強する教室
③体育館
④作業場
⑤運動場
以下に順位詳細な様子を説明します。
①独房
刑務官にまずは受刑者が日々どんな生活をしているのか案内していただきました。
学習時や作業時間以外は4畳一間の狭い間取りの部屋で生活します。4畳といってもうち1畳分はトイレと洗面所がありますから実質は3畳分が日々の生活空間になります。
1部屋に1台液晶テレビがあります。小さなちゃぶ台もあります。刑務官を呼びたいときは中から名札のような小さな板を外に向かって出します。
もちろん鉄格子が窓の外にはあります。鉄格子といっても薄く強度はそんなに強いようには見えません。クリーム色に塗られて昔の「牢屋」のようなイメージはありません。
②勉強する教室
この松本少年刑務所は、全国で唯一刑務所の中に学校があります。松本市立旭町中学校桐(きり)分校といいます。周りを高い壁に囲まれ、窓ガラスのすぐ向こうには鉄格子がある教室です。
通常3年間かけて学習するところを、この桐分校では1年で学習します。そのため桐分校に通う受刑者は労働作業などが免除されるそうです。その代わりに1日中勉強していなければなりません。
他にも通信制の学校に通う生徒も教室を利用して学習をします。
中には20歳を超えた受刑者もいるそうです。学習するのに年齢は関係ありません。へこたれずに続けてほしいものです。
③体育館
木造の立派な体育館がありました。もちろん演台もあります。天井からはバスケットのゴールも降りてきます。
ここは雨天時の運動の際に使われますし、桐分校の入学式の際にも使われます。通信制の学校の入学式にも使われます。
時にはカラオケ大会もするそうです。どんなカラオケ大会なんでしょうね。通常刑務所内では私語厳禁で受刑者同士自由に会話することもできません。この時は多少会話してもいいのでしょうか?楽しいカラオケ大会だといいですね。
④浴室
意外と広いタイル張りの浴槽は、一度に40人ほど入れます。
中央の壁沿いに監視する小部屋があり刑務官がそこで監視しています。その監視部屋からよく見えるように縦に洗い場が並んでいます。
1人20分程度の入浴時間だそうです。女性の場合はもう少し長いそうです。
④作業場
車とバイクが数台置いてあり、そこで整備などの実習を受けます。ここを卒業すると第三級の整備士の資格を取ることができるそうです。これは出所後に仕事の従事できるようにするためです。
作業の時は私語厳禁、自分の持ち場で決められた作業を黙々とこなすそうです。
なんとか刑期を終えたらここで得た技術を活かしてほしいですね。
木工の技術を習得するための作業場やパソコンの技術を習得するための教室もありました。やはり若い人は覚えるのも早く、ExcelやWordの検定試験にも多くの受刑者が合格するそうです。
しかし、この先電気自動車が主流になったら、どうなるんでしょうか?その当たりも臨機応変に対応してほしいものです。
⑤運動場
晴れた日はここで運動をするそうです。運動会やソフトボール大会も開かれるそうです。広さは、都会の高校にある運動場程度で、やや狭めです。
周りにはやっぱり高い壁があります。安部 譲二著「塀の中の懲りない面々」を思い出します。
見応えのある刑務所見学ツアーでした
所要時間は40分程度でした。かなり内容の濃い見学ツアーで見応えがあります。
参加したのは近所の年配の方や、若い人まで様々です。一度見たら毎年楽しみにするようなことでもありませんが、市内にある施設ですから中を見て日々どんな活動をしているのか知るのは大切なことですね。
単に罪を犯した人が収容されて刑期を終えるためだけの施設ということではなく、日々どんな生活を送っているのを知る上でとっても良い機会でした。
同時に被害者と加害者の人権ということまで考えてしまいました。
実は車検やタイヤ交換、洗車は一般の人も利用できます
知らなかったんですけど、刑務所内の作業の一環として、一般の車検や整備、タイヤ交換、洗車を格安でやってくれるんです。
洗車なんてワックスかけて普通の人では気付かないような隅から隅まで磨いてくれて、なんと1500円!
タイヤ交換も500円ほどでしてくれます。雪国はタイヤ交換が年に2回ありますから、ここでやってもらえれば格安で済みます。
その際は代車はありませんが、ホントに安いんです。冬タイヤの交換は街の整備工場でやってもらう値段の比じゃないですよ。
全国の刑務所でやっているはずですから、お近くの刑務所も問い合わせてみてください。知らない人がほとんどだと思います。
展示即売会も大盛況でした

外へ出ると刑務所の敷地内では、受刑者が作業で作った木工細工などが販売されています。全国の刑務所で作られた製品(特産品?)ももずらりと並んでいます。

函館監獄で作られているスマホケース、エコバッグも販売されてました。時々町で持ってる人を見かけますね。

こちらが購入したヒノキの間伐材で作った入れ物です。1300円でした。とっても使い勝手がよかったので後日もう1個購入しました。
軽いんですがとっても頑丈です。部屋に置くとヒノキの良い香りが広がります。
コースターも2個購入、1個70円でした。道の駅で買うと700円はします。受刑者がピカピカになるまで1個1個手作業で磨き続けたそうです。苦労がにじみ出ているようで思わず購入しました。

こちらは受刑者がいつも食べている食パンです。2個で100円です。大きくて食べごたえがありますよ。中で焼いているわけではありません。近所の業者が納入しているものです。
それから、先着200名に配られた通行手形です。松本少年刑務所の名がしっかりと入っています。これはいい!大切にします。
軽自動車の試乗会もやってました。こういったイベントで出店料を稼いで刑務所の運営に役立つのであれば、もっとどんどんとやって欲しいですね。
あいにくの天気でしたが、見応え十分の松本少年刑務所でした。常時家具も販売しています。市価よりは当然安いので一度ゆっくりと見にきたいものです。
2018年松本矯正展の告知広告発見

(2018年10月20日追記)
2018年の松本矯正展の告知ポスターをツルヤで見つけました。
20日?えっ?今日じゃない?今年は行けませんでした、残念。
まぁ去年じっくり見たから、今年はいいです。