旧国道158号線に残る取入隧道と赤怒谷温泉
旧道に残る歴史的建造物
松本市街地と上高地を結ぶ国道158号線沿いにはかつて使われていた旧道・廃道が今も点在し、そこには古い隧道やトンネルなども多く残ります。
上高地への入口として有名な「釜トンネル」の一つ手前(松本側)に位置する赤怒谷トンネルのすぐ近くには、旧国道、セバ谷ダム取水堰堤、取入隧道などの歴史的建造物が残ります。
さらに、廃道のど真ん中には誰も利用していない赤怒谷温泉が湧き上がります。
エリア | 知名度 | おすすめ度 | |
松本地域 |
現地アクセスの目安時間
自動車 | 松本ICから70分 |
動画で詳しく紹介します
昭和3年頃に完成した取水堰堤
現在も使われている赤怒谷トンネルのすぐ手前(松本市側)左手に細い道が残りますが、そこが旧国道158号線です。
ガードレールや電信棒なども残り、かつては車がここを通っていたことがわかります。
旧道沿いを先へ進むと最初に見えてくるのが「セバ谷ダム取水堰堤・犀川取水口」です。岩場を極力残して、そこにコンクリートを積んで作りました。
ここから梓川の水を取り入れて、幻のダムと言われる「セバ谷ダム」へと地下水路を通って水を送ります。
完成時期は不明ですが、セバ谷ダムの完成時期が昭和3年、釜ヶ渕堰堤が昭和18年に完成しているため、おそらくその間だと思われます。いずれにせよ戦前・戦中の歴史のある建造物です。
梓川に沿ってさらに歩くと、200mも行かないうちに現れるのが取入隧道です。この取水隧道、昭和39年に完成しています。
無機質でデザイン性にかけるコンクリート製のトンネルが多い現代ですが、この取入隧道にはギリシャの神殿を彷彿とさせるような意匠があります。
トンネル内は、コンクリート柱を補強するように鉄骨で支えられていて、スノーシェッドのようです。鉄筋が剥き出しになったコンクリート柱もあります。
道幅は狭く5mくらいではないでしょうか。ここを大型バス同士がすれ違うこともあったと思いますが、どう利用したんでしょうか。
トンネルの先には天然温泉が噴出
そして、取入隧道の出口の先に、旧式のボイラーのような筒状の構造物が見えます。上部からは水蒸気らしき白い煙を絶え間なく噴き出し続けます。これが赤怒谷温泉です。
旧道の真ん中にあるので、国道としての利用が終わってからできたのは間違いないようです。どこかの温泉施設の源泉でもなく、特に利用されていません。そのまま梓川に放水(湯)しています。
河原には野湯があります。「野湯」とは、源泉が出ているのにも関わらず、それを利用した商業施設が存在しない温泉を指します。
この先は、完全に旧道も消滅しており、進むことはできません。
赤怒谷温泉の基本情報
住所 | 長野県松本市安曇 |
入場料 | 無料 |
駐車場 | 数台駐車可能 |
定休日 | 無休 |